2020年1月31日

2020年1月31日

さて、今年もこの日がやって来ました。
本日をもって、2019年度全ての授業が終了となりました。

昨年度とは異なり、今年の受験生はそう多くはないのですが、
今年もまた、保護者の皆様に支えて頂きながら、生徒達と共に全力で走り抜けた一年でもありました。

今年の受験生たちは少々変則的でもあり、
既に受験が終了した子も複数おりますので、
それぞれの子へのメッセージは個別にお伝えさせて頂きました。
今年はこの場をお借りして、今思うことを綴っておきたいと思います。

元号も変わった令和2年、この2020年、
教育界も大きく変わろうとしています。
大学入試改革に始まり、それに伴って、
小・中・高それぞれの段階の教育改革も進められていくことになりそうです。
科学技術の進歩は目覚ましく、
それまでの「常識」が1年も経てば通用しなくなるような時代でもあります。
同じ日本人であっても、世代ごとに「価値観」も大きく異なって来ています。
だからこそ改革を、だからこそ変革を、ということも理解はしているつもりです。
悪しき習慣やしきたりは、時代に合わせて変えて行かなければなりません。

先日行われた最後のセンター試験。
30年というその歴史に幕を下ろすこととなりました。
私も今年の問題を一部の科目で解いてみましたが、
いつ解いても、毎年毎年センター試験は本当によく練られて作られているものです。
今後それがどのように変わっていくのかはまだ定かにはなっていないようですが、
こんな良いテストが無くなってしまうのかと…。

高校入試も話題となっています。
私立校が軒並み完全中高一貫化を目指すのに合わせてか、
公立の中高一貫校も高校募集を廃止する方向で進んでいます。
近い将来、都立高校でもとんでもない動きがあるのではないかという懸念もありますが、
高校受験生たちの選択肢が益々狭まっていくことになりそうです。

中学入試にも変化が見られます。
英語入試、公立校のような適性検査型の入試、その他特殊な入試方式を導入する学校も増えて来ました。
国立大学の附属中高では、「過熱するエリート化」を止めようとする動きもあるようです。
確かに私も常々申し上げている所ですが、
中学受験は無くても良いものです。
日本にはしっかりとした義務教育課程がありますから、
中学受験などしなくてもちゃんとした教育を受けられます。
ですがそこには、だからこその確かな意義があったはずです。

算数が出来なくて将来困ることなんてほとんどありません。
用水路の名前や中和反応の計算が分からなくても生きていけます。
時制・三単現のs・冠詞や各種文法事項がいい加減であっても、英語で会話することは可能です。

この令和という変革の時代、
無くしてはならないものも今の世の中には多くあるように思います。
まだ社会経験がない未来の宝たちに、
一見すると無意味・無駄に思えることにもちゃんと意味があるんだよ、
と私たち大人が伝えてあげる必要があるように感じています。
かつて人生の先輩方がそうしてくださったように。

グローバル化が叫ばれて久しいですが、
国家が国家たりうるのはそこに確かな文化というものが存在してこそなのではないか、
と私は思います。
そこには長い年月をかけて先達たちによって培われてきたものがあるはずです。
なんでもかんでも外国に負けないようにと、新しくしてしまう必要はないのではないでしょうか。
そしてこれは、国レベルの話に限ったことでもないように思います。
極めて面倒で、非効率的なこともあるのかもしれませんが、
目先のことばかりにとらわれてしまうのではなく、
物事の本質だけは見失わないようにしたいものです。
自戒を込めて。

いよいよ明日から東京・神奈川の中学入試が一斉に始まります。
既に埼玉・千葉などでも始まっていますので、受験ムード真っ只中ではありますが、
まだまだ心身ともに発達段階の子供たちが、それぞれにとってのベストを尽くそうと、
日々努力して来ました。
それに一つの「結果」が出ることも大きな意義であることに違いはありませんが、
ずっと傍で見て来ただけに、
そこまでの過程こそが、何よりも美しく、尊く、そして愛おしいものなのだと、
毎年思います。
色んなことを犠牲にし、くじけそうになりながら、それでもまた立ち上がり、
自分との戦いに今挑もうとしています。
そこまでやらなくてもいいんじゃないか、と言われることも少なくないこの業界ですが、
「その時」に向かう子供たちの背中、
「結果」が出た後のそれぞれの子の表情、
そしてまた「その日」が終わってもキートスに通ってくれる子供たちの姿、
これまでの時間が決して間違いなどではなかったのだと、確信させてくれるものでもあります。

中学入試が終わると、高校入試・大学入試と続きます。
まだまだ休んでなどいられませんが、
今年もまたこの日を無事迎えられたことに、
ただただ感謝しかない想いでいます。

受験生諸君。
私の恩師からの受け売りですが、ひと言だけ。

Where there’s a will, there’s a way.
「意志ある所に道は開ける」

君たちが人生の晴れ舞台を、存分に楽しんで来てくれることをただただ願っています。
君たちに出会えた奇跡に感謝します。
今日までありがとう。
健闘を祈っています。

2020年(令和2年)1月31日
学習教室キートス
遠藤佳映