2016年1月31日

2016年1月31日

毎年のことではありますが、やはり私にとってこの日は他のどんな日よりも様々な感情が込み上げてくる一日であります。
今年度も全くこの日記を更新することなく、ただ慌ただしく日々が過ぎていきました…。
生徒たちが帰ったこの教室には、コピー機なのか換気扇なのか、
普段あまり気に留めることもない電子音だけが響いているような気がします。

今年もまた、中学受験生たちを無事送り出すことが出来ました。
結果は天のみぞ知る、といったところでしょうか。
まずは今日まで積み重ねた努力を誉めてあげたいと思います。
先程電話越しに聞こえてきた生徒たちの声には、
いつも通りの爽やかさと共に、少しだけ緊張が混じっているようにも感じられました。
ほんの数日前まで緊張感の欠片も無かったような子たちが、
毎年のことながら、こうして立派な受験生となって教室を去っていきます。
自分が置かれている立場や状況を正確に把握出来てしまうような子は、小学生ではありません。
周囲をギリギリまでハラハラさせてくれたり、
「やる気はあります!」とは言いながらもどことなく能天気であったり、
それでいて繊細ですぐ弱気になったり…
それでこそ小学生であり、愛すべき未来の宝なのではないでしょうか。
体は随分と大きくなりましたが、
そんなまだ10年ほどしかこの世に生きていない彼らが、
大人でも頭を抱えてしまうような中学入試に挑んでいくのです。
結果が出た後の彼らの姿も堪らないものがあるのですが、
今この瞬間の彼らの姿はまさに何物にも代え難いほど愛おしく、
尊いもののように思えてなりません。
とかく否定されがちな中学受験ではありますが、
ご家族と塾の方針や考え方さえ間違っていなければ、
これ程彼らの人生において意義深いものがあるだろうかと思いながら、
今日まで過ごしてきました。
1月31日という日を迎えられること、
この仕事をさせて頂いて私は本当に幸せだなと思える瞬間でもあります。
まだまだ高校・大学入試も続きますので、
中学入試ばかりにクローズアップするわけにもいきませんが、
明日からまた、私にとって大切な一年が始まることに違いはありません。

毎度のことながら、
以下、受験生へのエールを送らせて頂きます。
受験生の保護者の皆さま、
一先ず、今日まで本当にお疲れさまでした。
皆様のお姿に、子を持つ親としてのあるべき姿を学ばせて頂いたような思いでおります。
朝ご飯を食べている間、または会場へ向かう道中、
お子様に以下のメッセージを読ませてあげてください。
不躾なお願いではございますが、
私からの最後のお願いとさせて頂きます。
今日まで本当にありがとうございました。


愛しの小学6年生たちへ

おはよう。
よく眠れたかな?
朝ご飯はしっかり食べたかな?
りんごはちゃんと食べた?
忘れ物はないかな?
筆箱・受験票は持った?
消しゴムは入ってる?

色々と心配する僕を横目に、
君たちはいつも通りの笑顔でいることでしょう。
「先生、大丈夫だから」と…。
緊張はして当たり前。
緊張していなくても構わない。
全てそれでいい。
君たちは今のままで十分素敵です。

さあ、本番です。
今までよく頑張ったね。
良くも悪くも結果は出てしまうけど、
今日まで君たちなりに頑張ってきたという事実に違いはない。
自分で自分をちょっとだけ褒めてあげてください。
本当に毎日よく頑張った。

でもね、君たちが頑張れたのは、君たちだけの力だろうか。
陰でいつも君たちを支えてくれた人がいたね。
いつだったか、言霊の話をしたことがあったね。
言葉には魂が宿っている。
だからこそ、一つ一つの言葉は大切にしなくちゃならない。
ここで僕から君たちへのお願いがあります。
このメッセージを読んだらすぐに、君たちをいつも支えてくれた人に一言伝えて欲しい。
「ありがとう」と。

そんなこと言わなくても、きっとこれからも支えてくれるだろうけどね。
6年生にもなると照れくさいね。
でも、はっきりと相手に聞こえるようにこの一言を伝えて欲しい。
お母さんはいつだって君たちの味方だったはず。
お父さんはいつだって君たちを励ましてくれたはず。
兄弟だって、口にこそしないかもしれないけど、君たちの邪魔にならないよう努めてくれたはず。
おじいちゃん・おばあちゃんが君たちにしてくれたこともあったはず。
今この瞬間、君たちのそばにいる、君たちの大切な人に感謝の気持ちを伝えて欲しい。
この人たち無くして、今の君たちは存在しえなかったはずだから。

もしね、どうしても、どうしてもだよ?
どうしても照れくさくて仕方がない場合は、「キートス」って一言だけでも構わない。
フィンランド語で「ありがとう」って意味なのはもう知ってるよね。
その人たちにはちゃんと君たちの気持ちが伝わるはずだから。
今日まで君たちはやれることはやってきた。
もし最後にとっておきの魔法が使えるとしたら、やっぱりこれしかないんじゃないかと思う。
きっと君たちにとって「良いこと」が待っているはずだから。
約束ですよ。

さあ、行っておいで。
胸を張って、堂々と歩いてください。
君たちを試験会場まで送ってくれた大切な人は、
もしかすると君たちの後ろ姿を見ながら、泣いちゃってるかもしれないから、
決して後ろは振り返らないこと。
前だけ見て、今持っている力を全て出し切って来てください。
試験中に思うように行かないことがあっても最後まで諦めないこと。
君たちには合格の力は十分にある。
後はそれを発揮するだけ。

では最後に僕からも一言。
君たちと出会えた奇跡に感謝しています。
君たちとの時間は僕にとって楽しいものばかりでした。
今後も君たちとの想い出は大切にさせてもらいます。
君たちの健闘を心から祈っています。
ありがとう。

学習教室キートス
遠藤佳映